Tiny Style Salon

定番ブランドや古着を中心に、30代40代の大人のメンズファッションに使えるアイテムの紹介、スタイルの提案をしていきます。

ユニクロに感じるファッション衣料としての失速感

回はちょっとした雑記・雑感的なコラム記事になります。

 

タイトルにある通り、あくまでも私個人的な肌感の話になりますが、ユニクロの失速感を今年の序盤あたりからぼんやりと感じていました。

今日はそんなお話です。

 

といっても、経営的な面ではなく、"ファッション衣料ブランド/ストア"としての失速感です。(もともとファッション層はメインターゲットではない会社ですしね。)

 

 

近年続いていたユニクロの無双状態

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UNIQLO公式サイトより

近年のユニクロは、長らくファッション好きが抱いていた「ユニクロは着たくないな...。」というイメージの払拭に成功したと言えると思います。

このネガティブイメージの払拭には、コロナ禍で一気にキャズムを超えたファッション系YouTuberの台頭も大きく貢献しているように感じています。

 

もちろん、実際にユニクロの製品そのものも、ひと昔前と比べて考えると、飛躍的にファッション的になり、品質も向上しているのも間違いありません。

 

UNIQLO Uや+J、JW ANDERSON、エンジニアドガーメンツ等々、コラボラインの展開の活発化と共に、それをYouTuberやブロガー、インスタグラマーなど、いわゆるインフルエンサーが「ユニクロ、侮れないよ!」と拡散した事で、これまでのネガティブイメージから、店頭に足を運ぶことすらなかったファッション好きの人が、「ちょっと一回見てみようかな。」と思うきっかけを与えた側面は大きいと思えてなりません。

 

一方で、ファッションにあまり関心がなかったり、興味はあるけど何を買ったり着たら良いのか分からないという層にとっては、「ユニクロで大丈夫なんだ◎」と印象付けられ、ユニクロの無双状態と言っても良い状況が生まれ、続いていました。

 

が、この無双状態に陰りを感じているのは私だけでしょうか...?

 

感覚的にそう感じていただけなのですが、せっかく今回こうしてブログに書くので、何故そう感じたのか、体系的に考えてみました。

 

コレクションのルーティン化による慣れや飽き

メンズのコラボラインの中でも、特に人気の高いUNIQLO Uと+J。

シーズンもある程度重ねたことで、消費者(特にインフルエンサーやファッションが好きな層)が目が慣れてしまった感もあるように思えます。

加えて、ユニクロのメインターゲットはファッションに関心の薄い一般層ですから、コラボラインとはいえ、そこまでイケイケな攻めた製品は作りにくいのか、新コレクションが発表されても、過去のコレクションと大きな変化を感じにくいという面もあります。

 

インフルエンサーも、似たような商品を毎回何度も紹介はしにくいですし、消費者もライトユーザーであるほどに、そんなに頻繁に洋服を買う必要がないので、一度買えばしばらく買う必要にも迫られないでしょう。

インフルエンサーはライト層をメインターゲットにしているので、このループが続くことで「ユニクロを紹介してもアクセス数が稼げない。」となれば、紹介頻度も下がってしまうでしょう。

紹介頻度が下がれば、ファッション衣料としてのユニクロへの関心度も下がるように思えてしまいます。

 

またインフルエンサーやファッション好きな層は、新しいものや人とは違うものを求めるものなので、ここまでユニクロが国民服レベルに広まってしまうと、仮に商品が良くても着ることに抵抗が生まれてくるものだとも思います。

少し前までは、ファッション層はユニクロに対してネガティブイメージが強かったので、だからこそ「"逆"にユニクロ」というカウンターが効いて、そこに着る価値を見出せましたが、誰もがユニクロを着ていたら何の差別化にもなりません。

 

インフルエンサーマーケティングのズレ

これもあくまで私の肌感や見立てでしかありませんが、そんな状況をユニクロは察知して、すでに次の手を打っているように感じています。

 

インフルエンサーはユニクロを紹介すればアクセス数が稼げ、ユニクロは良い製品さえ作っていればインフルエンサーが勝手に宣伝してくれる。というWinWin状態の雲行きがうっすら怪しくなったことで、ユニクロが今注力していると思われる次の手というのが、自社インフルエンサーの育成です。

 

前述のWinWinな無双状態の時と比べると、この半年ほどで一気にインフルエンサーに対して意識的になったように見受けられます。

 

例えば、ユニクロのアプリなどでは、ファッション系YouTuberを公式に起用して、新作の発表や紹介動画などを公開しています。

少し前までなら、こういったインフルエンサーにオフィシャルに仕事を発注することはほとんどなかったように認識しています。

 

加えて決定的だと感じたのは、ユニクロを始め、GU、Theoryなどを持つファーストリテイリングが運営するStyleHint(スタイルヒント)というアプリです。

ファッションスタイリング写真を投稿するというWEARのようなアプリではあるのですが、投稿者のほとんど(9割以上な気がします)が、ファーストリテイリング傘下のブランドのショップスタッフです。

 

そして、このアプリ内では他のSNSのように公式バッジのような認証マークが存在するのですが、この認証マークは現在のところ、ユニクロ側が依頼したと思われる著名人、もしくは自社ショップスタッフのみが対象となっています。

特集的なコーナーでも、自社発注の著名人とショップスタッフを強くプッシュしており、これまでの自発的に紹介をしてくれるインフルエンサーから、自社発信のインフルエンサーでマーケティングをしようとする意識を強く感じています。

 

で、何故それに私が失速感を感じるのかというと、一つはシンプルに、自社スタッフや自社発注のインフルエンサーでは、レコメンドの信憑性が希薄になるという点。

そりゃあそうですよね。ユニクロに頼まれたインフルエンサーやスタッフさんが「新作のこのシャツ、最高ですよ!」と言うのと、お金をもらっていないインフルエンサーが同じことを言うのとでは、消費者がどちらを信用するかは明らかです。

 

もう一つは、インフルエンサーを自社発注するにしても自社スタッフを育成するにしても、やはりユニクロは大衆衣料メーカーという強い個性があるので、ピンとこないと言いますか、もっとはっきり言ってしまえば、多分うまくいかないように感じてしまう為です。

 

これまで発注しているインフルエンサーを見ていると、ファッション好きな層からはあまりオシャレだとは認識されていない人選をしていますし、自社スタッフをインフルエンサーにするのはもっと無理があるように思えてなりません。

「ユニクロにもファッション衣料として使える商品が売っている。」

というのはファッション好きな層からも一定以上に認められたとは思いますが、だからと言って、ユニクロのショップスタッフをオシャレだとはほとんどの人が思っていないでしょうから、いくらプッシュをしても難しいのではないかと感じるのです。

 

一言で言ってしまえば、「ユニクロは確かに素晴らしいコストパフォーマンスの衣料品を製造販売しているが、企業の性質や特性が"ファッション"とはかけ離れているので、自社コントロールでインフルエンサーを選定・育成したマーケティングは困難ではないか?」ということです。

 

サステナブルへの取り組み不足への指摘

私はファッション業界の人ではありませんが、仕事でご一緒することや友人なども多く、この数年は何か一緒に仕事をするたびに「サステナブル、サステナブル」と口を酸っぱく言われていました。

 

一方で、ユニクロ(ファーストリテイリング)が昨今問われているのがこの点です。

 

海外ではサステナブルへの取り組みのないブランドや企業の淘汰がすでに始まっていると聞いて久しいですが、とあれば当然、日本でも同様の状況が起こる可能性は高いはずです。

 

もちろん、ユニクロが全く取り組んでいないという事はありませんし、私も仔細にユニクロのサステナブルへの取り組みをチェックした訳ではないのでそこは何も言えませんし思いません。

ただ、低価格帯商品を販売するユニクロは、サステナブルの大波がやってきた際に、どうしてもファストファッションブランドとして捉えられ「安かろう悪かろう」的に判断されやすい側面はあるでしょう

このサステナブル意識も、ファッション層やインフルエンサーが先に乗る波なので、やはりファッションに関心の高い層から順に、ユニクロ離れを起こす可能性を感じてしまいます。

 

ちなみに言うと、「安くて長持ちしない服を必要以上に買っては捨てるのは、サステナブルじゃないよね。」といった文脈で語る方もちらほら見ましたが(中田敦彦のYouTube大学でもそんな感じで伝えていましたね...。)、近年の洋服に関しては安いから長持ちしないってことは全然ないので、その文脈は間違いかなぁと感じています。

むしろ逆で、デザイナーズ系だと高い服の方がすぐダメになることの方が多いくらいかもしれません。

(気に入っている服は丁寧に扱っていたのにすぐダメになってしまい、気に入ってない安い服がいつまでもダメにならないって経験ありませんか?そんな具合にです。)

 

最後に(まとめ)

一筆書きでざざっと書いたので、記述や説明が至らない箇所はあると思いますが、ここでお話ししているのは、ユニクロメンズのお話となります。

レディースはもともとメンズに比べ、一人当たりの洋服を購入する点数も男性とは異なる為、低価格帯の洋服に抵抗がない消費者も多く、洋服を意味や価値ではなく純粋に物として選ぶ傾向にもあると思いますので、コスパの良い製品さえ作り続けていればここで書いたような懸念は無いように思っています。

最近でもmame kurogouchiコラボなどトレンド感もメンズよりキープしている気もしますしね。

 

そして、あくまでもメンズファッション衣料としての失速感というだけですので、一度これだけ面を取りきってしまえば、ファッションに関心の薄い層は買い続けるでしょうし、ファッション層も製品さえ良ければシンプルな定番的アイテムなどはある程度は買うとも思います。

(なので、ユニクロ側もそれも見越した上で「これで良い」と考えている気もします。そもそも全体の売上の多くは、安くてある程度長持ちすれば問題ないと考える高年齢層やファッション無関心層からだと思いますので。)

 

そんなわけで、企業やショップの経営上は全く問題ないと思っていますが、ここで挙げたような理由から、「ユニクロはもういいかな...?」と感じ始めているファッション好きやインフルエンサーは割と多くいるような気がしたので、今日はそんなお話を書いてみました。

 

ファッション好き特有の、"気分"として「ユニクロはもういいかな...?」というタームに入った気がするというお話で、ユニクロが良く無いという話ではありませんので、ユニクロ好きの方がいらっしゃいましたら、お気を悪くしないでいただけますと幸いです...。 

 

ちなみに、Instagramでは毎日コーディネートをアップしているので、そちらも合わせてチェックいただけると嬉しいです。

 

それではまた◎

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